仙台防災未来フォーラ厶 2024提案 

出展 東北アウトドア情報センター
会場 仙台国際センター
日時 2024年3月9日(土) 9時30分〜16時30分

■テーマ

防災の再考
 一教訓を見直そう、紙や段ボール製品を使った工夫、他一

■内容

東日本大震災から13年が過ぎようとしている。
今まで防災アウトドア術、車中泊術の情報を発信してきて、今回は教訓を見直そう!をテーマに、「防災とサバイバルは違う」「間違い誤解の防災」「テンデコ(てんでんに)とは」「災害保険の現状」などを再考。
役に立つ「折り紙・段ボール、古新聞紙」の活用、工夫も紹介。

はじめに

東北アウトドア情報センター 代表 八嶋 寛

今回でフォーラムは3回目の出展で防災アウトドア術、防災車中泊術を電子出版の紹介し、それを踏まえての主張である。
登山として岩登りや沢登り、雪山登山、ヒマヤラ登山や大河下り(東インド、黄河)などの探検的な行動して来たことを防災に生かしたい発想で続けている。
野山ウォーク、福祉ウォークは今も実施している。
すべて実践、体験からの応用であり、推測「また聞き」や資料コピーでは無い。
取組んで来た中で、防災情報で「おかしい?」と思うことが少なからずある。

防災教本(2018年版)が手元にある。
毎年改訂を行っているとあるから改訂された部分もあるかも知れないが、その資料を基に参考として述べる。
「懐中電灯はいつの時代のこと」は以前から主張しているが今回もテーマにした。
これは大変重要なことで、登山で50年前でも「ヘッドランプ」など両手が自由になるライト類を使っていて懐中電灯は使わない。
急ぎの避難や避難場所での生活で、その違いは使って見れば分かる。避難では生死を分ける道具の一つだ。
防災教本の「緊急持ち出し品の例」「ライフラインの代替手段の例」の二か所に「懐中電灯」がリストに入っているので今後も無くならない。せめて「防災ライト(各種)」と書いてあれば選択も出来る。
そのことは本文で改めて書くが、他にも気になることを紹介する。
※本文の画像は筆者撮影

防災とサバイバルは違う

防災、アウトドア、サバイバルとも、人それぞれに解釈は違う。
緊急に対応すべきことと、避難生活での応用の違いもある。
同じと理解したり、混同したりすることで、防災に役立つ場合と思い込みなど支障が出ることもある。

東日本大震災以前から防災訓練、防災指導の一つとしてテレビなどで報道された活動で気になっていたことがあった。
「火起こし」「焚火炊飯」などを子供たちに指導する光景だ。「アルミ缶でご飯を炊く」ことも何度も見た。
さすがに大震災後は取り上げられることは少なくなったが、無くなってはいない。

「火起こし」は大げさに言えば「人類の画期的な進歩」の一つだが、防災とすべきことだろうか。「焚火炊飯」は、数十年前なら海外でのヒマヤラ登山も含めて私もよくやったことある。キャンプファイヤーはマキを積み重ねて大きな炎を炊き、周囲を集うイベントも多かった。

しかし、環境汚染の問題から焚き火やゴミを燃やす行為は平成13年(2001)4月から法律で禁じられた。また海外でも森林保護の観点から問題となっている。さらに山火事の原因でもある。
焚き火はアウトドアでは一つの技術、知識として必要な時代もあったが、竃戸(かまど)の作り方、火の管理の仕方など簡単では無く熟練が必要だった。もう、「過去の知識」として話すだけだ。
「アルミ缶でご飯を炊く」は見るたびに苦笑するしかないが、アルミ缶と米がある条件を勝手に設定しているだけで、実際の災害で活用した例はたぶん無いだろう。
その時間で、もっと実用的なことを伝えて欲しいと思う。

私なら、台所が使用できない環境下での燃料、燃焼器具類、ライターのことや、備蓄すべき乾燥食品などのことを丁寧に指導したい。
子どもたちには、何を備え、活用するかを教えるべきだ。
防災としては燃焼器具とライターなどの正しい使い方などを指導すべきだ。自動着火の機器は多いが、故障しやすいとも言える。ライターもつかないトラブルも少なくない。安価でもあるから、数種類(目安としては家族数×2位)準備するのがよい。
ライターは一時的な照明(明かり)としても重宝する。
その他は防災アウトドア術、車中泊術を参照して欲しい。
これらのことを取り上げる報道や防災関係者もようやく増えて来たように思うが、まだまだだ。

登山では遭難、トラブルが起きないようにする為に知識、技術を高めることが必要で、指導者(先輩、講師など)から引き継いで来たが、遭難してしまって救援も期待できない状況になった時に「サバイバル」が始まるとも言える、
通常の登山、ヒマヤラでの行動はサバイバルでは無い。
数日後には救援が来る災害とは違うが、来なければサバイバルが始まる。
サバイバルとして私が思いつくのは戦後もジャングルで生き残った小野田さんや横井さんの教えだ。その著書から多く学ぶ事はある。また航空事故や海難の事例からも学ぶことはできる。
「安全登山のすすめ」(八嶋著、河北新報出版センター刊)でも、金星の位置から方向を知るとか、天候判断、セルフレスキューなど「サバイバル的」な知識も書いているので参考にして欲しい。

間違い誤解の防災

前項で「サバイバル」のことは説明した。

他にも「防災知識」としてテレビに流れる内容で、登山の経験から「違う」と思うことがある。

防災用品の詰め方

防災専門家がテレビで説明する場面で「防災用品の詰め方」がある。

背に負うバックは登山では「ザック」と呼ぶが、他にもリュックサック(登山リュック、ハイキングリュックとも)、バックパック(主に旅行用)、ナップザック、Dバック、スポーツバックなど多種がある。

大きさは容量で20ℓ以下から35ℓ、90ℓの大型までと様々ある。

または背負えるカバンとしては、ランドセルや旅行カバンもある。

私は小物入れとしてポーチやサイドバックを首から前に下げたりしている。

荷物の量や重さ、作業の目的で肩バンドや固定具類も違ってくる。

さらに言えば買い物バック、風呂敷もある。

要は、様々な背負えるバックがあり活用することを伝えるべきだ。

私自身、登山と旅行、日常で多種のバックを使用して来た。

前出の防災講座での説明では、そのような説明は無く決まった大きさの物に「どのように詰めるか?」の説明になっている。

決まった時間内でもあるし、制約があることは分かる。

単に詰め方の説明と思うかも知れないが先入観、制限を与えることの怖さが「落とし穴」ともなりかねない。

「詰め方」の説明であっても前段にザックの種類があることと、防災用品は家族構成で違うことなどを一言伝えることはできる。

防災アウトドア術でも、市販の防災バック1式を「買って安心しない」と注意しているが、個人の事情や家族構成、何を必要とするかで違ってくる。

私が説明するなら、大きめの箱に必要と思われる品々を見えるように置く。

子供の遠足で、枕元に並べて置くのと同じだ。

もう一つ、名前を書いておくことが大事で旅行やツアー登山など同じ物を持っていることが多い。避難所でも同様で、名札を付けるかマジックで書いて置くなどの対応をしておけば安心だ。

災害の際は、季節、家族構成などを瞬時に判断し、必要品とバックの種類を選ぶ。

「がさばる、軽い、壊れない」衣類、布製品などから詰めて、それから小物を詰めることがよいと説明する。

バックは、すこし大き目で調整できる物がよい。

「コンプレッション・バック」圧縮袋のことだが、シュラフ袋と同様で詰めて小さくなる袋。但し、災害時は時間がかかる作業は避けたいので事前に詰めて置いて、中身が分かるようにラベルに書いて張って置く。多種あって、袋の周囲に締めつけるバンドがあって、驚くほど詰まる。

登山用のザックでも周囲のバンドを閉めて調整できる。

子供なら、いつも使用しているランドセルの中身を出して必要な物を詰める訓練をしておくのもよい。

登山では「パッキング」と呼ぶ技術あって、如何にうまく詰めて背負いやすくするかは経験でもあったが、今はザックの作りがよくて解消されることもある。

因みに、私は登山ではザックに座ることが多いので、下半分は座ってもよい壊れない物を詰めている。特に冬の登山では雪の上での休憩となるからだ。

しかし現代の登山者は専用のマット持参が多い。 このことは防災と登山、ウオーキングとの混同で、防災、避難の現状を判断すべきだ。

防災教本の気になるリスト品

「はじめに」で「懐中電灯はいつの時代のこと」と書いたが、「懐中電灯を推奨する表現はやめて欲しい」と伝えたい。

理由は、登山では両手が自由になる「ヘッドランプ」を使う。

ヘッドランプは昔からの呼び名で、当時は車の「ヘッドライト」との区別だったかも知れないが、今は「ヘッドライト」名でも販売されている。

首から下げるライトでもよいが歩行するには、やや不便さもある。

いずれにしても「懐中電灯」は現代多くの種類があるライトでは「大き目のペンライト」というべきだろうか。

災害が暗い時間で起きて、避難する時は手元、足元を照らすにはライトが必要であるが、ヘッドランプなら作業も早いし両手も使える。

子供、高齢者の誘導も出来る。

一刻を争う避難で、危険、命を左右することでもあると言える。

これは使って見れば即分かることで、防災の指導者には必ず体験して欲しい。

このことは事項のライトでも説明する。

防災教本では用品の項目で、防災機材の例、非常持ち出しの例、非常備蓄品の例の3つに分けて表で示している。

「おんぶひも、やかん、権利証書、アルファ米、ローソク」などが気になる。

「おんぶひも、やかん」は、用途、名称も多くあるので表現を検討して欲しい。

「権利書を探した」と笑えぬ話が津波避難であったが、補足で電子登録に代わっていることを知らせたい。貴重品リスト(現金、通帳など)もあるが、普段はしまい込んでいるので持ち出すのに時間を要することもあるからだ。

「乳幼児・高齢者・病人向けの食品」とあるが、「アレルギー」を追加して置けば、対応もできるだろう。

アルファ米(アルファ化製法)は乾燥食品のことで、昔の代表する乾燥米だが、今はフリーズドライ(真空凍結乾燥)の食品もあるし、その2つ以外でも長期保存可能な物もある。総合的に「乾燥食品、長期保存食品」でよいと思う。

カンパンは昔から、防災の代表する保存食品だった。これも見直されて来たことは歓迎するが、まだ記載がある。

このリストに「強力ライト、懐中電灯、ローソク」はあるが、ライト(頭に装着や首から下げる物)と書いて置けば、避難は迅速で作業で両手を使える。

別項の「被災後の暮らしを守る」の「ライフラインの代替手段を考える」でも同様に電機は「懐中電灯、ランタン、ローソク、発電機、ソーラーライト」と書いてあっこれでは、懐中電灯は無くならない。

ぜひ、防災教本の執筆者と防災士には実体験をして違いを知って欲しい。

もう一つ、「救出、救助に役立つロープの結び方」で「もやい結び」を図で紹介しているが、これも古い知識で「難しい」「大きな力がかかるとほどけやすい」ことなどから、登山のプロなら勧めていない。

むしろ、分かりやすい「八の字結び(エイトノット、ダブル・エイトノット)が望ましい。

教本は、誰が書いたか監修したかを明確にして、曖昧さやおかしいままで広がっていくことを避けるべきと思う。 各専門家の執筆になると思うが、ぜひ、アウトドアの専門家の知識を加えて欲しい。

これらの気になる記載は、各市町の防災やハザードマップなどにも見られる。    防災士が監修してると思うので、ぜひ再確認と必要に応じて修正をお願いしたい。

災害にも共通するアウトドア用品

防災アウトドア術でも安易に選択しないように説明しているが、再確認の意味でいくつかを改めて説明する。

ライトを「懐中電灯」の表現はやめましょう。
文字通り昔の名称で「棒状のライト」を連想する。
登山では頭に固定するライトが、両手を使えて行動に便利だ。
必要に応じて、腕に巻き付けることもよい。
このことは使って見るとわかることだが、専門家や報道アナウンサーで知らずに説明していることが多い。
登山では「ヘッドランプ」「ヘッデン」と呼び、頭につけるライトだが、今は多種の商品があって「ヘッドライト」とも言う。
ここでは緊急に避難する際のライトのことであり、他に「ランタン(置く、吊るすなど)」「ペンライト(これが懐中電灯とも言える)」などがあるが総称して「ライト」と呼ぶのがよい。
手回し発電のライトも重宝する。私は室内の数か所、ドアノブなど吊り下げている。
もし、家の電気が落ちて真っ暗でも手探りで探せて、ハンドルを回せばライトの光が得られる。
「ロウソク」は、まだ災害用品に含めていることが多いが、「ライトと電池、充電池類」をしっかり備えれば不要と思う。火を使う証明は火災の懸念がある。

ホイッスルは、護身用として販売されているが、音量をデシベル(100などの高い物)で明記されている物を勧めたい。アルミなど金属製品は寒い時期に向かないのでプラスチック製がよい。運動会などで使う「ホイッスル」もあるが、中にボールのような物が入っているのは故障も懸念される。単にザックなどに付属した物では無く、よく選択すること。

子供、高齢者とも家族数を準備し、災害時に役に立つことを説明しておくこと。

アルミシートは、「小さく軽く安い」の利点はあるが防寒には向かないし、結露することが多い。登山の緊急用品で広がったが、「あたたかい」の説明は正しく無い。

毛布の代わりにはならないことを知っておくべきだ。

スリッパ(または室内シューズ)、必要ならアイマスクも。

沿岸の町で開催された防災訓練に参加した際に、「スリッパ」を各自持参とのことだった。避難所を想定した大きな体育館に入る時に、入り口でビニール袋を渡されて、自分の靴を入れて「スリッパ」に履き替えた。スリッパは持たずに来た人は、そのまま靴下状態の人も居た。そう寒くない日であったが寒ければ無理だ。

私は旅行用(飛行機、バス内使用)のスリッパ、アイマスク、そして「首枕」を災害時避難の用品リストに入れている。

感染対策を忘れずに。コロナウイルスはまだまだ用心すべきだ。避難所の混雑ではインフルエンザも心配だ。マスクと予備、手の消毒液、そして手袋は施設のドアノブなどを直に触らない効果があるし衛生面でもよい。一式、備えるのがよい。

着替えテントは、車中泊術でも紹介したが便利な物だ。理由は設置が簡単で床面の縮小調整ができること。着替えテントなら車で移動中にトイレの時は路肩に止めて、パット開いて使用出来る。正直、畳むのにコツが必要だが無理な時は、大きく平たくして車内に入れることは可能だ。実施して見ると体験できる。

充電機器、ポタ電(ポータブル蓄電池)の進歩は目覚ましい。防災車中泊術でも紹介したが、防災だけで無く、日常でも使用してれば災害時も安心だ。

テンデコ(てんでんに)とは

「人の足を踏んで、自分も踏まれて走って逃げた」、東日本大震災でも岩手県沿岸で避難した女子高校生の証言である。

「てんでこ」は2011年の東日本大震災以降に広く全国に伝わり、「警視庁」と検索すると「津波てんでこ・警視庁」と表記される。

警視庁の説明では、・・・津波被害が多い三陸地方で「津波起きたら命てんでんこだ」と伝えられてきました。これは「津波が起きたら家族が一緒にいなくても気にせず、てんでばらばらに高所に逃げ、まずは自分の命を守れ」という意味です。今日で東日本大震災から9年を迎えました。この教訓に基づき命を守る行動を取りましょう。

・・・と伝えている。

東北の方言と紹介されることが多い。

私は宮城県仙台市出身で、あまり使ったことが無い言葉だが意味は分かる。

「てんでんバラバラ」「勝手に」とかの意味で「協調性が無い」など、あまり良い使い方はしないと思うが、それでも親や高齢者が若者に対して、まず自分のことだけ考えろ、と言う教えでもある。

避難訓練で気になる光景がある。
地域、町内で開催することになるが、高齢者や車椅子の付き添いをする光景だ。
福祉と防災を混同すべきでは無い。

津波で避難した方々の証言として「家族が心配、ペットが」とか、「金品や貴重品を探す」などもあった。
1分1秒を争う、急ぐ事態なのだ。
この言葉を思い出し、先人の言葉に従おう。

石碑と伝承を見直そう

「防災アウトドア術」の講演(2016年)依頼があった時、私は太平洋沿岸の岩沼市東長谷、阿武隈川の北側にある「千貫神社」に行き、画像を撮って講演で紹介した。

この神社は1611年(慶長16年)の大津波で舟が流れ着いた史実がある。

2011年の東日本大震災では、仙台市の太平洋東沿岸には仙台東部道路があって、それに沿って津波浸水が止まった印象があった。

東日本大震災の後に多くのメモリアルや記念碑が作られたし、車道には「ここまで津波が来た」との表記も見られる。しかし、それは2011年の史実であって、もっと違う情報もあるかも知れない。昔からある「全国の津波石碑と伝承(寺、寺院、古文書など)」の検証を改めてすべきだと思う。 「自然災害伝承碑」は、国土地理院で公開しているので見ることが出来る。

運動とストレッチは違う

能登災害の後、NHKラジオで昼時間帯に「ラジオ体操」を流すようになった。

ラジオ体操で「運動、ストレッチ」の違いを説明しているが、指導者がいなければ無理な運動となるので、私は昼のラジオ体操はお勧めできない。

ラジオ体操は、普段やってなければ激しい動きは運動となって体を痛めることもあるし、痛めたことを言わないで後遺症となることもある。

反動は付けずにゆっくりと伸ばせる所まで伸ばすのがストレッチで、高齢者に適している。ストレッチ」のゆっくりの動きでやって欲しい。

ウオーキングも急がずに歩くように指導している。

40歳から80歳と各年齢層で体の動き、伸ばせる範囲など人に寄り違ってくる。防災に関わる行政や民間機関の方々は、高齢者への配慮、理解が重要であることを知って欲しい。

③のダンゴ虫は小学校で「地震で頭を守る姿勢」として教えている。また熊に接近遭遇した場合、自分の頭と体の胸、腹部を守る姿勢としても有効だ。 当方主催の野山ウォークでは歩く前後にストレッチを実施していて、家庭でもやるように勧めている。

ウオーキングを取り入れよう

避難所生活には散歩、ウオーキングを取り入れて欲しい。

近所を数時間程度、天候判断をして歩く。

登山講座を主催している私からの提案とアドバイスだが、たかがウオーキングとは思わずに、地図と服装、歩きやすい靴などを準備すること。

登山は山道、石も多く足首を保護する靴が必要だが、普段の靴なら避難所周囲の車道を歩くことがよい。

歩く前後には簡単なストレッチ。これは歩行でなくても、日に2回程度、室内で実施するのもよい。

別項で伝えたが運動(ラジオ体操など)とストレッチは違う、図のようにゆっくり各自伸ばせることは違うし痛みが出ないように伸ばすことだ。

出来れば簡単な参加者名簿を作り、名札(名前、愛称でもOK)または紙テープにマジックで名前を書き貼り付ける。

主催者は参加者を保険(レジャー保険など)に加入させるべきだが、そこまで無理なら「自主参加で、主催者、他の方の責任は問わない」の書面を頂くか、立ち合い人がいる場で話して確認することだ。

この歩行は避難所に退避している方だけでなく、スタッフにも必要と思う。

リーダーを決めて、あいまいな行動にならないように計画を立てて実施して欲しい。

熊対策に一言

近年、懸念されることとして「熊の出没」と被害がある。

熊対策に「鈴、ラジオ」はよく聞くことだ。

だが、私の登山講座では別なことを指導している。ウオーキングで一人なら別だが複数の歩行では「鈴、ラジオ」は騒音で迷惑なこと。

また、低い音では「尾根や岩の影」で音が通らない。

だから秋田の山菜や根曲がり竹採りの現場では、大音響のラジオと爆竹のような音も随時流している。

ウオーキングでは、複数居れば話声が響くし、ホイッスルを頻繁に吹く。

竹を叩くという方もいた。私はいつもストック(スキー用)のを打ち鳴らす。

登山には昔から「コール」と呼ぶ動作があり、大きな声で叫び通信するが、今は大声を出せない人が多い。以前、子供向けの防災講座を実施した時に、一番初めにやったことは100mほど2組に分かれて互いに大声を出す体験だ。

声を出せる子と出せない子が居たが、徐々に出せるようになった。大人でも同じだろう。

実施する場所の選定もあるが、広い公園などで可能だ。

100mを歩数にすれば大人では約130歩前後(個人差有り)。正確な距離でなくても、遠く離れて声がどう聞こえるか、通るかを知ることが大事だ。

「コール」はホイッスルでもよいが、熊とイノシシ避けにもなる。

子供では防犯アラームもあるが、持たせ置くのもよい。

災害保険の現状

能登災害の報道の中で、地震保険加入の現状が伝えられた。

「過去に災害があった宮城、熊本は80%以上、石川県は40%にも満たない」とのことだった。しかし、専門知識が無い私が調べて見ると意外だった。

これだけを聞いたら、とても実態を把握出ない。

同様な情報がインターネットでも見られ、2022年で宮城県89.3%、高知、熊本、宮崎、鹿児島は84%以上、東京は61.9%で、長崎が54.8%と最下位だった。

「地震保険 都道府県別世帯加入率の推移」の年表(1994~2022)、(出典)損害保険料率算出機構」で全国都道府県別を見ると、2022年は宮城県53.6%と一番高く、低いのは沖縄県の17.8%。熊本県は44.2%、全国の平均値は35.0%となっている。 このことはネット情報で「地震保険、加入」で検索すれば見ることが出来る。

基本知識としては、地震保険は火災保険に加入しなければ加入できない仕組みで、地震保険のみの加入は出来無い。

「地震保険」は保険会社と国、いわゆる国政が運営し保証を行っているとのことだ。

そんなことは誰しも知っている、と言えるだろうか?

前段で説明した「地震保険」は、正確には火災保険に加入している方の「地震保険加入率と付帯する」という表現だが、まぎらわしい表現だったと思う。

火災保険に加入しても地震保険には加入していないことも多いということだ。

災害では行政の支援はあるが、保証まではしない。

東日本大災害の時、国が保険の支払いを速やかにと奨励した事実があった。今の若者には経験の無いことだから知って置くべきことだ。

家屋、家財が崩壊して無くなった時に保険があることは、希望が持てるが、加入してなければ保証は何も無いのは辛いことだ。

もっと保険の仕組み、現状を知らせて選択して欲しいと思う。

アウトドアを専門とする私が保険のことを伝えるには理由がある。

登山保険は若い時から大事なこととして、考えていた。

私の登山は岩登りや沢登り、雪山と危険が伴う要素もあったからだが、自分自身とリーダーとしての引率する責任も保険加入無しでは無責任なことと思っている。

2011年の東日本大災害では、当時、自分と親類のアパート住まいと親の持ち家は火災、地震保険とも加入しており、それなりの保証も頂いた。

当時、首相が「速やかに保険の保証金支払うこと」と話していたのは、やや疑問も持ちながら「有難いこと」と位に思っていたが、国と保険会社が保証すべきことだったからと知った。

ここでは保険の詳細を伝えたりはしないが、保険会社と共催、その他と有り事前に情報収集して取組んで欲しい。

要点のみを伝える。あくまで参考にして保険、共済、その他の取り扱い会社、団体と相談をして欲しい。

損害保険のうち、自然災害による損害を補償する保険を「災害保険」と呼ぶ。災害保険には「火災保険」と「地震保険」の大きく2つがある。災害保険では、住宅や家財などの財産が被害を受けた場合の復旧費用が支払われる。

家屋は自分の持ち家、家財と借用物と分けられる。重複保険は不可。重複して掛け金が倍でも、支払いは限度額内。評価額は限度額がある。

損害の程度  支払われる保険金額(2022年の参考資料から)は、一部損、小半損、大半損、全損で保険金額が分けられる。

火災保険でカバーされる災害は火事による損害のほか、自然災害による損害もカバーしている。落雷や台風、竜巻、洪水、高潮、土砂崩れ、雪崩などで損害を被った場合、火災保険に加入していれば、補償が受けられることがある。

 地震保険でカバーされる災害は、地震による損害のほか、火山の噴火や津波による損害も補償される。また、地震を原因とする火災で損害を受けた場合には、火災保険ではなく地震保険で補償を受けることになる。

保険金は必ず全額支払われるわけではない。災害保険では、実際の被害状況を調査し、損害を受けた分の金額が補償されるのが基本。

2022年以降、多くの火災保険の保険料が値上げされた。日本では近年、台風や集中豪雨などによる自然災害が増えているためである。

以上。(出典:一般社団法人日本損害保険協会・損害保険協会資料より)

保険とは違うが、災害後に市町村で解体費用を負担する場合がある。

それには市町村の発行する「り災証明」が必要で、2011年の東日本大震災では実施された。保険会社の手続きでは必要でない場合もある。

段ボール・折り紙、新聞紙の活用

災害時の避難所には、身の回りに日常にあった物が無い。

支援物資が届けば段ボールはあるので、何ができるかを考えて見る。

段ボールはそのままで、棚、床マット、仕切りにもなるしトイレも作れる。

日本の折り紙は古い歴史がある。代表的な「折り鶴」「兜(かぶと)」、パーンと音が出る折り方もあった。避難所での時間、子供、高齢者に遊びや話題、笑顔をもたらす「折り紙」を広めよう。

折り紙のことを改めて調べて見ると図書館には意外に沢山の所蔵(仙台市図書館は500冊以上)があって、特に児童書の棚に並んでいる。

本のタイトルを見ただけでも夢が広がる。 楽しい箱と入れ物の折り紙、親子で遊べるおりがみ、12か月の楽しい折り紙、折り紙手品、暮らしを飾る折り紙、花づくし、動物、恐竜、デズニーキャラクター、創作、ユニットなどなど、何でも作れそうだ。ユニットとは、ここでは立体の部品を作って組み合わせることのようで面白い。

新聞紙の活用について。

文字に飢えた経験はありますか?

ヒマラヤ登山での1か月、2か月はテレビもラジオもない世界だ。ラジオがあっても国際放送の日本語放送を時々キャッチできる程度だった。持っていった各自の本を回し読む毎日で、雑誌は隅まで読んだ記憶がある。

災害の避難所に古新聞紙があったなら、手に取って読むだろう。それが「文字に飢えた気持ち」を埋めてくれる。新聞紙は折り紙も作れる。

支援物資には古新聞紙も入れてやろう。

新聞紙が「防寒」に役立つことが報道などで話題になった。

私が若い頃(1970年代)は、登山用品に新聞紙を1日分入れることが多かった。イザと言う時に新聞を体に巻いて防寒になる知識があったからだ。そのことは登山講座で冬の時期に話して伝えることは時々あった。2024年の能登災害時に話題になるとは意外だったが、それが「防災アウトドア術」だ。

折り紙のユニットを伝えたが、避難所の生活環境を整えるには「段ボール」も含めて役立ちそうだ。段ボールで届けられる支援物資をさらに活用する為に、段ボール内にプラスαで「紙テープ、ハサミ、カッター、新聞紙、ラップなど」を入れてあげよう。

ヒマヤラへの憧れ ~東北人の登山の記録から防災アウトドアへ~のタイトルで、 東北歴史博物館(宮城県立)にて東北アウトドア情報センターとの共催で2015年から三か月間に展示会が開催された。

概要を簡単に説明すると、以前(数十年前)にヒマヤラ登山の際に現地から買い求めて来た遊牧民のテント(パオなど)や生活用品を仙台市内で展示した後に当時の民族資料館に寄贈した物があった。

公開しないまま保管されたままだったので博物館に打診した。ちょうど、その年に「防災アウトドア術」の本を出版していたので博物館に進呈した所、このタイトルとなった経緯がある。

博物館で開催して来た「子供向けワークショップ」を、防災のテーマに同時開催することになった。

この画像は、テーマの一つ「段ボールで防災用品を作る」で、子供たちが自由に作った物を展示した模様で、トイレを作った子も居た。

段ボールは必ずしも実用品だけで無く、自由に表現しても良い。

災害時には支援物資が集まり、段ボールも集まるので、それを活用しない手は無い

支援物資には、段ボールの加工用にテープ、カッターとも同梱して欲しいと思う。

さらに言えば、支援物資の段ボールをひと工夫して、ベッド、棚、仕切りが作れるアイデアもある。

民間との協力体制を

災害は、まず行政の専門部署が担当し、判断行動し、その後に民間の支援となる。

初動で民間の諮問機関が動く、助言する方法を取れないだろうか。

現地職員も被害者だと思うが、対応が後手になることなど批判されることが多い。

防災対策で事前に民間の各専門に助けを得るシミュレーションしておくことを提案したい。

現代は連絡、会議はPC遠隔でも出来る。

各県や地域で保育、子供、栄養、食品、保険、運輸、野外活動などの専門の人員を事前に依頼して、災害時に緊急に意見や情報を収集することで現場への対応に生かすことが出来ると思う。

仙台防災未来フォーラム2022年と2023年の東北アウトドア情報センター展示風景

以上。