花火を使った避難警報システム

仙台市の団体「東北アウトドア情報センター」の代表八嶋は、「防災アウトドア術」の初版を2015年3月1日に出版しました。この本の最後に「夢の防災」として「花火で伝える」という項目があります。災害時の避難を呼びかける方法として「花火、信号弾」を活用するというものです。

従来から「学校の運動会を知らせる」方法として花火が使われています。秋田県大曲の昼花火の体験では、花火が目視出来なくても、炸裂する花火の音が耳や体に響くことで花火の存在を確認できました。
花火を使うことは、避難を呼びかける手段として有効だと思います。

以下に「防災アウトドア術」の「花火で伝える」の一部を掲載し、提案いたします。

(6)避難警報を「花火・信号」で伝える。聞き取れない防災無線の現状。

避難を呼びかける防災無線のシステムは完全ではないな、と実感する体験をした。
太平洋沿岸のある町で行われた避難訓練に参加した時のことだった。
私は訓練開始時間よりも早く現地に着き、自家用車で地域の様子を見ておこうと国道から海辺へ移動した。もう各所には地元の消防団員が数人ずつ配置されていた。
車を止めて団員にあいさつしながら立ち話をした。訓練開始は防災無縁で知らせるとのことだった。「訓練は○時に開始します」と言った内容の広報が町内に何度も流れたが、よく聞き取れないので、車を止めて外に出ると、断片的に聞き取ることができた。移動しながら、聞こえないポイントが各所にあることを知って、私は大いに疑問を持った。いろいろ見て回ってから、また消防団員の居る所を通って聞いてみた。「防災無線って聞こえないこともあるのですね」と私が問うと「そうだね、車内では聞こえないね」と消防団員は答えた。
せっかく用意されている防災無線が聞き取れない、これは根本的な課題だと思った。

車中では、窓を閉め切りラジオを付けていれば聞こえないし、天候による風雨でも同様だと推測した。家の中に居たとしても周囲の環境によっては広報が伝わらないこともあるのでは無いだろうか。漁船に乗っていれば、なおのことだ。私は海辺に住んだことはないので、現状に詳しくはないが、命に係わる重要な情報が伝わらない現実を知った。

その翌年の夏、有名な秋田県の大曲の花火を見る機会があった。友人から誘われ、大型バス・ツアーに初めて参加し、昼過ぎには現地に着いた。まだ明るい午後三時頃から昼花火があるという。みんなと一緒にシートに寝転びながら、明るい空に打ち上げられる花火を私は初めて見た。暗くなってからは壮大な花火を楽しんだ。
「避難を知らせるのに花火が良いのでは」その後、津波防災を考えている時にふと思いついた。花火なら家の隅々まで響くし、空に打ち上げられたのを広い範囲で見ることが出来るからだ。海上の船にも知らせることが出来そうだと思う。
この案は、まだ「夢」の段階だ。実現するには実験的なことを詰み重ねる必要がある。また、社会的なシステムとして、さまざまな法令の整備、市民の理解も必要になる。昔から地域の運動会を知らせる花火がある。音だけのようだが、近年は朝の騒音になって迷惑だという意見もある。現代の情報社会では、運動会の花火が必要なのか考える時期なのかもしれない。もし防災警報花火が実現するようになれば、祝砲花火との区別を考えると、祝砲花火は廃止するか共存するかを検討することになるだろう。

実際の避難の呼びかけで、どんな花火、信号弾がよいかなどを検討するには専門家が取り組まなければ無理ですし、関連する法整備も必要になるかと思います。
ただ私がこのまま考えているだけは検討も実現も出来ないと思い、今回、このような方法で提案ました。
来る3月11日には、各市町村で「試験的な花火」で取り組んで頂きたいと思っています。
「鎮魂」の思いも込めて14時頃に花火を打ち上げることができればと思います。

統一した信号が実現すれば、災害時に瞬時に活かせると思います。
日本、世界に広げて行ければ、浜辺、観光地で有効と思います。
今後、さらに検討して行きたいと考えております。

何卒、よろしくお願いいたします。